「エイブル・アート近畿 ひと・アート・まち」は、一般社団法人たんぽぽの家が提唱するエイブル・アート・ムーブメントに共感した〈近畿ろうきん〉が、2000年にスタートしたアート・プロジェクトです。
本取組みは、障がいのある人たちのエネルギーに満ちた表現を新しい芸術として見せていくことからはじまり、多彩で個性的なアーティスト・芸術団体との関係はもちろん、地元商店街や企業、会員労働組合、生協をはじめ、会場となった地域で活躍する市民・NPO、学生や大学等の協力も得ながら、多様な関係を築いてきました。
2006年には、「エイブル・アート近畿 ひと・アート・まち」が、障がい者アートを通じて、地域の多様な文化と人をつなぎ、まちを豊かな空間にしていく役割を果たしてきた活動が評価され、優れた企業の芸術文化支援(メセナ)活動を顕彰する「メセナ アワード2006」において、文化庁長官賞を受賞しました。
2019年11月3日、19年間の活動の総まとめとして、〈近畿ろうきん〉肥後橋ビル内を活用し、スタート時からの作品を展示するとともに、更なる活動の発展に向けて、「社会連帯とアート」をテーマとしたフォーラムを開催しました。
〈2019年11月3日「エイブル・アート近畿 ひと・アート・まち」の様子〉
≪展示内容の一部紹介≫
1.「手と手プロジェクト」
地域で働く人たちと「エイブル・アート」をつなぐ観点から、近畿ろうきんの職員が会員組合員の協力を得て働く人の「手」を撮影し、支店ごとにポスターを作成。「ろうきん職員と働く人の関係が近いからこの写真が撮影できる」とプロの写真家から高い評価を受け、以降、近畿ろうきんの新人研修で「ろうきんの事業価値」を示す事例として紹介。
2.「世間遺産」
いつの間にか消えてしまうかもしれない日常の風景を地域の子どもたちを中心に写真に収め、そのうちの一枚だけを撮影者自身の「世間遺産」として認定するワークショップ。
3.「プライベート美術館」
障がい者アートを美術館ではなく、労働組合事務所や地域の自宅の玄関や店舗の空間等で、場所を提供する人が自ら展示作品を選び、おすすめコメントとともに作品を展示。
障がい者福祉の根本的な課題として、障がいのある人の所得の低さや仕事の選択肢の少なさがあります。「エイブル・アート近畿 ひと・アート・まち」は、障がい福祉やアートの可能性を広げていくと同時に、ものづくりの団体や企業とのコラボレーション等、障がいのある人の働き場づくりにつながっています。
こうした取組みの背景には、性別や年齢、心身のハンディキャップなどに左右されず、共に暮らせる社会を構築するという、ろうきんの理念である「人々が喜びをもって共生できる社会の実現」という考えが根底にあり、取組みを継続・発展させてきました。
また、これまで「エイブル・アート近畿 ひと・アート・まち」を近畿2府4県で毎年場所を変えながら継続開催してきたことで、特定地域だけの深堀りより、もっと広範な地域とのネットワークが結ばれ、アートを通じた人と人とのつながりが広がっています。
〈近畿ろうきん〉では、2020年度から「エイブル・アート近畿 ひと・アート・まち」の取組みを引継ぎ、SDGsのスローガンである「誰一人取り残さない」「ソーシャルインクルージョン」(社会的包摂)に基づく社会づくりを目指すため、障がい者福祉・アート・地域・仕事づくり・働きがい・生きがいをテーマとしたエイブル・アートの新たな取組みを検討しています。
【主に関連するSDGs】
〈ろうきん〉では、SDGsの実現に向けた取組みを展開し、〈ろうきん〉に期待される協同組織金融機関としての役割発揮と社会への貢献を図っていきます。 ろうきんブログでは、随時、全国の〈ろうきん〉のSDGs実現に向けた取組みを紹介していきます。 「SDGsと〈ろうきん〉」の特設ページ(別ページに移動します) |