ごあいさつ

ろうきんは、1950年に誕生して以来、「働く人の夢と共感を創造」し、「共生社会の実現に寄与する」という理念のもと、常にはたらく人に寄り添い、時代の変化とともに住宅や教育の資金、資産形成などはたらく人のライフプランに応じた多様なニーズに応えてまいりました。
現在、全国13のろうきんが北海道から沖縄まで離島も含め588の店舗を展開し、預金残高は23兆円、貸付残高は15.9兆円となっています。
さて、日本国内においては、人材の確保や定着、物価上昇に伴う賃上げが実施され、「賃上げと物価の好循環」が期待されましたが、実質賃金は伸び悩み、生活にゆとりが生まれたという実感を持つ方は多くないのが現実です。特に食料品価格の上昇は家計に大きな影響を及ぼしています。加えて少子化や人口減少、都市部への人口・資金流出といった課題も顕著になっています。
金融機関を取り巻く環境については、「金利ある世界」が定着しつつあるほか、異業種の参入やライフスタイルの多様化が加速し、金融サービスのあり方自体も変化・拡大を続けています。今後は、各金融機関の独自性や存在価値がこれまで以上に問われていくと認識しています。
このような環境の中、ろうきんでは、「ろうきんビジョン2035」に基づき、はたらく人とその家族の夢としあわせな暮らしの実現を目指してまいります。そのために、一人ひとりの課題に真摯に向き合い、変化するニーズを捉えながら、「福祉金融機関」としての役割を果たしていきます。
とりわけ、2025年度は、労働金庫の提供する商品・サービスのみならず、事業運営全体が真にはたらく人のニーズに応えられているかを、はたらく人の視点から検証・見直ししながら、より質の高い事業運営を目指して、会員・地域の仲間と協働した取組みを強化してまいります。加えて、「挑戦」や「変革」を促進する人材・職場づくりに向けて、先進事例の共有や各種研修の実施にも積極的に取り組んでまいります。
2025年は「国際協同組合年(IYC2025)」にあたります。協同組合が世界的に果たす役割が、いま改めて注目されているこの節目の年に、私たちろうきんも協同組織金融機関の存在意義とその価値を自覚し、ろうきんビジョンの実現に向けて、さらなる歩みを進めていきます。
ろうきんは、社会の潮流が絶えず変化し、はたらく方々の価値観やニーズも急速に変化する中において、社会の中で役割を果たし続けるため、「はたらくあなたの、いちばんそばに」寄り添った取組みを展開してまいります。
2025年7月
一般社団法人全国労働金庫協会 理事長
