ごあいさつ

新型コロナウイルス感染症の影響に加え、ウクライナ情勢等により世界規模で不確実性が高まっており、我が国においても、資源価格の高騰等による物価上昇など、経済や国民生活に大きな影響を与えています。
ろうきんは、新型コロナウイルスから勤労者の生活を守る特別融資、働く女性や一人親を応援する金融サービスの展開、生活困窮者・子ども支援などの社会課題に取り組むNPO等への支援・融資など、勤労者の生活や地域社会を守るための活動に取り組んでいます。
人生100年時代の到来を踏まえ、ろうきんでは、「勤労者の資産形成に係る役割発揮宣言」を掲げ、「財形貯蓄」や「iDeCo」、「つみたてNISA」等の制度を活用して、勤労者の生涯にわたるライフプランや資産形成をサポートしています。iDeCoは契約者数が24万人と全契約者数の約1割を占めるに至っています。
また、近年加速するデジタル化に対応し、非対面取引やペーパーレス化を推進し、お客様の利便性向上や業務の合理化に取り組んでいます。2019年10月より、スマートフォンで手軽に残高やお取引状況をご確認いただける「ろうきんアプリ」がご利用いただけることとなり、口座登録件数は2022年3月末までに、100万件を超えました。このような利便性向上を図りながら、2019年のILOレポートがろうきんらしさとして紹介する「face-to-face」で「human-touch」な、温もりのある質の高いサービスを、変わらずお客様のもとに届けてまいります。
ろうきんは、これまで多重債務問題の解決に取り組んできたところですが、現在勤労者の生活応援運動の一環として、高金利カードローンの借換え推進による可処分所得の向上に取り組んでいます。
さらに、2022年4月に成年年齢が18歳に引き下げられ、18歳から親の同意なく様々な契約ができるようになりましたが、一方で、若い世代のマネートラブルの増加が懸念されています。ろうきんでは、特に若年層のマネートラブルを防止するため、アニメーション形式の動画を作成しました。動画については、スマートフォンでもご覧いただくことが可能です。
ろうきんは、2019年3月に「ろうきんSDGs行動指針」を策定し、業態をあげてSDGsの達成に貢献すべく取り組んでいます。SDGsの「誰ひとり取り残さない」という基本原則や全ての人々が必要な金融サービスにアクセスでき利用できる状況をめざす「金融包摂」の考え方は、ろうきんのこれまでの歩みや、ろうきんの理念・ビジョンと合致するものです。
私たちは今、紛争や人権の問題、感染症や気候変動の問題など様々な問題に直面し、貧困の連鎖や格差の拡大、分断や排除の動きが世界各地で見られるなど、持続可能な社会に向かっていけるのかの岐路に立たされています。私たちがここで「連帯」や「包摂」の道を、多様性を認め合う「寛容」の道を、選択することができるかどうか、それはまさにSDGsへの続く道です。SDGsの目指す「誰ひとり取り残さない」社会を築いていかなければなりません。
そのために、ろうきんは、勤労者の大切な資金を「意思のあるお金」として、持続可能で包摂的な社会の実現のために使うという流れをつくりだしていきます。
これからもろうきんは、社会の変化に柔軟に対応しながら、勤労者の生活防衛、生活応援というろうきんの使命を果たすべく、勤労者の皆様に寄り添った活動を展開してまいります。
2022年6月
一般社団法人全国労働金庫協会 理事長