今回は、「子どもの貧困」やその根本的な要因である「親の貧困」の解決・改善に向けた自立支援を目的として創設された〈沖縄ろうきん〉の「働く仲間のゆめ・みらい基金」の取組みについてご紹介します。
沖縄県の子どもたちが置かれている現状
2017年3月時点で、沖縄県の子どもの相対的貧困率は、全国平均の約2.2倍の29.9%となっている他、小学校の不登校児童数(児童千人あたり)、高等学校の不登校生徒数(生徒千人あたり)および高等学校の中途退学率も全国で最も高い割合となっています。また、大学などへの進学率も全国で最も低くなっており、子どもたちの教育や生活を取り巻く厳しい環境がこうした統計指標などに表れています。
このような「子どもの貧困」の背景には、全国一低い県民所得や最低賃金、4割を超える非正規雇用比率など、労働者を取り巻く厳しい現実があります。「子どもの貧困」の解決・改善には、労働世代である「親」の経済・生活基盤を安定させるための、「働く」につながる支援が必要です。
「働く仲間のゆめ・みらい基金」とは
「働く仲間のゆめ・みらい基金」の概要
困難を抱える人に資金を援助するだけでなく、自立支援へつなげていくためには、個別的・継続的に寄り添う支援者が必要であるという考えのもと、本基金の給付申請には、給付を受ける本人と組織的支援機関(社会福祉協議会等の公的組織等や福祉活動を行なっている労働組合等)が共同で申請することとしています。
主な給付対象者としては、養育する子がいる世帯の親や、就学と子育ての両立支援を必要とする就学生、職業資格取得をめざす就学生(資格の受験費用の捻出が困難な職業高校生など)等となっており、組織的支援機関を通してご相談いただくことで、その事情に応じて本基金から支援を行うこととしています。
労働者福祉事業を通じた社会貢献
〈沖縄ろうきん〉の取組みとして、社会貢献寄付商品(財形貯蓄、エース預金、教育ローン、福祉ローン、カードローン、自動車ローン)を選定し、その新規取り扱い1件につき200円を〈沖縄ろうきん〉が負担して基金へ拠出します。2017年度は1,074,200円の寄付金を拠出し、2018年8月16日(木)に開催された贈呈式において(公財)沖縄県労働者福祉基金協会へ贈呈しました。なお、2016年度からの累計では2,306,000円の寄付金を拠出しています。
具体的な「働く」につながる支援例
「就学と子育ての両立支援」として、独りで小さい子どもを育てる、いわゆる「シングルマザー」で、高校卒業の資格取得を目指している方に対し、沖縄県高等学校障害児学校教職員組合(以下、高教組)と連携し、定時制高校スクーリング時の保育園での預かり支援を行いました。
その結果、生徒である本人はもちろん、家族などの負担軽減にもなり、就学と子育ての両立が可能になりました。なにより、「生徒を支えたい」という先生(高教組組合員)の気持ちを、同じ働く仲間で支えることができたという点もこの事例の特徴点だと考えます。
働く仲間との絆
本基金の主役は、〈沖縄ろうきん〉の会員を含めたすべての働く仲間とその大切な人です。
〈ろうきん〉には、他の金融機関にはない会員団体をはじめとした働く仲間との絆があります。働く仲間の力を結集するかたちで基金を創設し、「子どもの貧困」問題の解決をめざすことは、他の金融機関にはできない取組みです。
〈沖縄ろうきん〉では、これからも基金創設・運営を最大限後押しすることで、福祉金融機関としての社会的役割を発揮したいと考えています。
・〈沖縄ろうきん〉のホームページへはこちらから(←http://www.okinawa-rokin.or.jp/)
【主な関連するSDGsの目標】
〈ろうきん〉では、SDGs達成に向けた取組みを展開し、〈ろうきん〉に期待される協同組織金融機関としての役割発揮と社会への貢献を図っていきます。 ろうきんブログでは、随時、全国の〈ろうきん〉のSDGs達成に向けた取組みを紹介していきます。 「SDGsと〈ろうきん〉」の特設ページ(別ページに移動します) |
〈全国労働金庫協会 取材班〉