きっかけは、女性職員の制服を新しく切り替えることでした。
〈東北ろうきん〉の担当者は、
「古い制服は捨てるだけか。・・・何かできないものか。」と。
古くなった衣類を貧しい国に送る活動をしている企業があることは知っていたけれど、
でも、せっかくやるなら、送るだけではなくて、使っていただく人たちの喜ぶ顔が見たい!
そんな想いをフツフツ募らせていた時、以前に見た新聞記事が頭に浮かぶ。
「そういえば、知っているNPOの活動が紹介されていたような・・・。
たしか、商店街に吊ってある垂れ幕を、バッグに仕立て直したとか・・。」
■その団体とは「NPO法人ふうどばんく東北AGAIN(あがいん)」
すぐ行動することは大得意!
日ごろからの関係づくりもあり、早速連絡してみる。
その団体は、食料・地域安全・就労など、地域のさまざまな問題を支援する活動をしており、
必要なところの必要なものを提供して
「もったいない」を「ありがとう」の笑顔に変えたいとの想いを持って活動している「NPO法人ふうどばんく東北AGAIN(あがいん)」。
"この捨ててしまう制服を資源として活用したい!"
そんな想いを率直にぶつけてみると、リサイクルならぬ、"アップサイクル"という言葉とともに、今回のプロジェクトが静かに動き始めたのでした。
■アップサイクル
リサイクル=「再循環」。一般的には、製品化されたモノを再資源化して、新しい製品の原料として利用すること。
一方、「アップサイクル」とは、再資源化して利用するだけではない。
元の製品よりも価値の高いモノにつくりかえる、言いかえれば"アップグレード"させる。
近年では、資源の有効活用や環境対策など、持続可能なモノづくりのための新たな方法論のひとつとして注目されているとのこと。
(写真はふうどばんく東北AGAINのご担当者)
「捨てる制服が"資源"として、
しかも"アップグレードした新しい製品"として生まれ変わるかもしれない・・・。」
そんな希望と期待ともに、回収した古いジャケット、ベスト、スカーフなど、のべ1万点を、
〈ふうどばんく東北AGAIN〉に託すことになりました。
■3つのWIN!
このプロジェクトを進めるのは、〈東北ろうきん〉と〈ふうどばんく東北AGAIN〉だけでなく、
実は、"製品をつくる"という重要な役割を〈福祉施設〉のみなさまに協力いただくことで組み立てており、
まさに、〈福祉施設〉のみなさまが、プロジェクトのキー・ファクターとも言える存在となっていました。
もし、3つの組織で進めるこのプロジェクトが軌道にのれば・・・、
1・〈東北ろうきん〉は、古い制服を資源として再利用できる。
2・〈福祉施設〉は、製品をつくる就労、社会と交わる機会ができる。
3・〈ふうどばんく東北AGAIN〉は、製品販売で得る資金で、あらたな支援活動ができる。
と、それぞれに3つのプラスの効果があり、"WIN!"でつながる、みんなが幸せになるプロジェクトとして期待されているのです。
■試作品
9月に古い制服を期待とともに託してから、製品のアイディア、デザインなどの意見交換をかさね、3月下旬、ついに、8つの試作品が〈東北ろうきん〉の会議室に並べられました。
バッグ、スマホケース、はし袋、匂い袋、シュシュ、etc・・・。
どれもこれも丁寧に縫製されていて、ひとつひとつ、手作りのその作品からは、このプロジェクトにかかわっていただいた方々の想いと温かみが感じられるようでした。
現在、試作品の中から量産するモノを検討しているとのことで、つくられた作品(製品)は、これから地域のイベントやインターネットで販売していくとのことです。
販売開始が待ち遠しいですね。
ご興味のある方は ↓
〈NPO法人ふうどばんく東北AGAIN〉https://www.foodbank.or.jp/
〈アート・インクルージョン〉http://art-in.org/
~東北ろうきん企画担当者より~
このプロジェクトは、日ごろから地域とのつながりを大切にしてきたから、組み立てられたと思っています。
"アップサイクル"という、リサイクルよりも前進したことに取り組めたことは、予想以上の成果でした。
ぜひ、製品を多くの皆さまにご利用いただきたいです。
これからも地域の人々が喜びを持って共生できる社会の実現に、
〈東北ろうきん〉だからできることを見つけながら、
地域とともに活動していきたいと思います。
◇東北ろうきんホームページはこちらから→ https://www.tohoku-rokin.or.jp/
〈全国労働金庫協会 取材班〉