〈ろうきん〉と子どものネットトラブル???
何だか不思議な組み合せですよね。
しかも、新潟ろうきんは、中学生向けの啓発DVDをつくったとか。
この不思議な組み合わせに取り組んだ理由を、新潟ろうきんの担当者に聞いてみました。
きっかけは、家族の会話
「スマホばかり見てないで、早く寝ろよ!」
息子をみると、いつもスマホを片手に家のなかをウロウロ。そんな姿に自然と口から出てくる言葉。
妻に、「うちの息子はスマホ中毒だよな~、ったく、勉強もしないで、スマホがあるから、こんなことになるんだよな~。」とグチることが、毎日の会話になっているような。
「でも、スマホはいろいろ調べられるし、便利だし、別に悪いわけじゃないんじゃない?」
この妻の言葉が、なぜかひっかかり、考えてみると、確かにスマホが悪いわけじゃない。
なにが悪いのか?・・・説明できない自分に気づく。
翌日、そんなギモンを、職場で話してみると、同じように悩んでいる同年代の親が、思いのほか多くいることがわかる。
そうだ、悪いのはスマホじゃない、親が子どもに「スマホとの正しい付き合い方」を説明できないことが、悪いんだ!
よ~し、たくさんの同世代の親を助けるために、わかりやすくて、子どもが学べる学習ツールをつくってやるぞ~(メラメラ)。
ターゲットは中学生
スマホの正しい使い方。どの年代に学んでもらうべきか。
有識者からの意見、世の中の意見などをネットでいろいろ調べて、たどり着いたのが、SNSとのかかわりを多く持ちはじめる中学生の年代。最大の決め手は、自分が注意している息子が中学生だったから。
プロジェクトは始動したものの、〈ろうきん〉は金融のプロであっても、教育は素人・・・。
そこで、〈ろうきん〉のネットワークを生かし、新潟県の教職員組合に相談してみると、
★素材は興味がわくようなドラマ風の動画で。
★子どもの集中が続くように短い時間のもので。
★知ってる場所、知っている人物が出演していると・・・。
など、教育現場からしか得られないアドバイスをいただくことができました。
そこで、新潟市のご当地アイドルの「RYUTist」(りゅーてぃすと)を起用して、10分間の動画を、新潟市内で撮影して、3パターン制作することに決めて、シナリオづくりへと突入しました。
ネットトラブル
肝心の内容は、①メールのやりとりで友人とトラブルになってしまった、②SNSで個人の情報を発信してしまった、③課金されるゲームアプリにハマってしまったという3つのケースを想定。教職員組合や新潟県、実際に生活指導をしている先生、ネットトラブルに詳しい地元のNPO法人などの専門家のご協力のもと、誰にでも身近におこりうるシナリオをつくりあげました。
制作したDVDを実際に教育現場で活用いただくため、新潟市生徒指導主事会の先生方より「指導案」を作っていただきました。指導案があることで、ネットトラブルの授業に対して「敷居が高い」と感じる先生も、気軽にDVDを使えるとの声をいただいています。
制作したDVDは、2016年7月から新潟県内の全ての中学校(272校)に無償配布し、そのうちの60校で実際の授業で活用いただいています。
先生からは、子どもたちが、SNSの危険性について自分たちで考えたり、自主的にルールづくりをしたり、SNSでの友達とのかかわり方、個人情報とは何かなどを学べることが非常に良いとの声が上がっているそうです。
このプロジェクトは、DVD制作から教育現場での活用までの活動が評価されて、2016年7月26日に、新潟県知事より新潟ろうきんに感謝状が贈られました。(パチパチ~)
現在、DVDは口コミで存在が広まり、警察や県外の消費生活センターなどの団体へも配布しています。
また2017年度には、新潟県内の全小学校への配布も計画しているようです。
さらに広がる〈ろうきん〉の輪。まさにミラクルです☆
~新潟ろうきん企画担当者より~
企画当初、ここまで協力の輪が広がるとは想像していませんでした。多くの皆さんからのご協力を大変ありがたく思います。
これは〈ろうきん〉だからこそ、会員・地域の皆さまから多くの協力、賛同を得ることができたのだと思います。
この企画は、子どもたちの将来を考え、地元で安心して暮らしていけるようにしたいという想いから始まりました。子どもたちのこれからの将来において、新潟ろうきんが身近な存在であり続けるために、これからも取り組んでいきたいと思います。
◇中学生向けDVD「考えてみよう SNSやスマホとの付き合い方」はこちらから(PDFファイル)
◇新潟ろうきんホームページはこちらから(https://www.niigata-rokin.or.jp/)
〈全国労働金庫協会 取材班〉