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賀川豊彦献身100年記念事業
「賀川豊彦とともに明日の日本と協同組合を考える」を開催しました

2009年11月28日

日本の近代化の過程で、労働組合の必要を訴え、協同組合運動の建設者・推進者としても活躍した賀川豊彦氏が、神戸・新川地区において貧困救済運動を始めてから100年となります。

全国労働金庫協会はじめ全国労働者共済生活協同組合連合会、共栄火災海上保険株式会社、全国共済農業協同組合連合会、日本コープ共済生活協同組合連合会、日本生活協同組合連合会、賀川豊彦献身100年記念事業実行委員会・東京プロジェクトは、11月28日、賀川豊彦献身100年記念行事「賀川豊彦とともに明日の日本と協同組合を考える」を東京商工会議所東商ホールにて開催いたしました。

当日は、ロビーにて賀川豊彦氏のパネル展示、関連図書の紹介なども行われ、530名の方々にご来場いただきました。

パネル展示の様子
開会挨拶

加山久夫明治学院大学名誉教授(東京プロジェクト事務局長、松沢資料館館長)が「賀川は、協同組合をはじめあらゆる社会運動の創始に関わった。逝去後、忘れられていったが、賀川の考えた『第3の道』を今探ることができる機会が訪れている。前向きの催しにしてほしい。」と開会挨拶されました。

賀川豊彦氏の孫にあたる賀川督明氏(神戸プロジェクト・東京プロジェクト委員、雲柱社評議員、イエス団理事)より「百年前の賀川は痛みに寄り添うことを大切にした。また『一人は万人のために、万人は一人のために』を紹介したが、万人が一人のために行動することは難しい。それらを今どうするかを考える機会にしてほしい。」とのメッセージをいただきました。

記念行事の前半では、木山啓子氏(NPO法人JEN(ジェン)理事・事務局長)が「自立を支えるということ―国際支援の現場から」をテーマに基調講演を行いました。木山氏は、「災害支援の活動をつうじて、人は自立するものと確信し、自立を支援してきた。このようなJENの活動も賀川の自立・共助の精神・行動につながるものだ。今日からできる国際協力に参加してほしい。知ること、行動すること、続けること、忘れないこと、そして伝えることが大切だ」と呼びかけました。
基調講演の様子

次に、池上 彰氏(ジャーナリスト、元NHK報道記者主幹)をコーディネータに、木山容子氏、阿部和代氏(徳島県生協連会長)、木戸寛孝氏(世界連邦運動協会執行理事)、伴 武澄氏(共同通信社編集局ニュースセンター特信整理部委員)によるパネルディスカッションを行いました。

(阿部氏)「組合員が増えれば新しいことができる。そのような思いで主婦たちが生協への参加を呼びかけ、生協を大きくしてきた。力をあわせることの安心感と夢が生協の原動力だ」、(伴氏)「賀川が英語で著した『友愛の政治経済学』は多くの言葉に訳され世界で出版されている。今般やっと日本語にも翻訳された。賀川の思想は人類に大きな影響を与えている」、(木戸氏)「世界連邦運動の初代副会長を務めた賀川は、戦中戦後をつうじて戦争をなくそうと努めた。賀川は、貧困を生まない社会システムづくりをめざして協同組合運動にも動いた。起業家としての賀川にも着目している」、(木山氏)「海外の支援地では、普通の市民が過激派になりうる状況にある。仕事の創出や生活安定が大切であり、それに向けた自立支援が肝要だ。海外における支援にも協同組合方式は活用できる」とそれぞれの立場から賀川氏の思想や運動、協同組合運動への思いを述べました。これを受けて、池上氏が「協同組合が広がると生活が変わり、平和にもつながる。米国オバマ大統領は、賀川が影響を与えたルーズベルト大統領に学んだ。今こそ『第三の道』が問われる」とまとめを行いました。

閉会にあたっては、山下俊史氏(日生協連会長)が「危機的といわれる状況の中、見たくない現実、見えない現実を見よと賀川は言っていると思う。ICA総会が開催され、協同の経済が大きな役割をもつとの共通認識を持った。核兵器廃絶や経済危機対応で、消費者・組合員の普段のくらしを支えられるよう努めていきたい」と決意を述べ、行事を締めくくりました。
イベントロゴ

以 上